令和元年10月25日(金)に、障害者雇用に取り組んでいる企業の方を対象とした企業交流会を開催しました。
障害者雇用に関する悩みや不安を共有し、気づきや支援のきっかけを何か一つでも持って帰っていただければ、と企画した新しい取り組みでした。
まず、「ハローワーク一宮」の雇用指導官伊藤様より、障害者雇用の状況についてお伝えいただきました。県や市の最新のデータをもとに、雇用状況や産業別の雇用率などをご紹介いただき、障害者雇用の現状について教えていただきました。
次に、特例子会社で障害者雇用の担当をされている「株式会社カジスマイル」の佐藤様より、障害者の採用プロセスについて、実際の例を使って分かりやすくお話いただきました。
「株式会社カジスマイル」では、採用前に会社見学→職場体験実習→面接→採用決定という流れを経ているとのことでした。実習では、その方の障害特性や課題を分析し、仕事内容とのマッチングを図りながらその方の段階に応じた目標設定を行って、一つひとつステップを上っていくように支援をされているとのお話がありました。設立から3年半で離職率ゼロ、という実績はこうした支援があるからこそとお話を聞いていて感じました。
続いて、障害者雇用に係る企業体制の構築について、「リブレ社会保険労務コンサルティング」の佐々木様よりお話いただきました。
障害者雇用促進法における障害者に対する差別の禁止や合理的配慮の提供について、募集・採用~採用後にかけてポイントとなる点を教えていただきました。作業・業務マニュアルや予定表・工程表の工夫をすることは、想像力に課題がある方や先の見通しがつかないと不安になってしまう方にとって有効な配慮の一つであるとのお話もありましたが、こうした工夫は障害がある方だけではなく、全ての人が働きやすい職場作りにもつながるという点で参考になる内容だったのではと思います。
「LITALICOワークス」の多治見様からは、就労移行事業所で実際に支援をされている立場から、福祉の視点で就職後に起きた困難事例についてお話いただきました。なお、「LITALICOワークス」では、就労移行支援と就労定着支援の障害福祉サービスを行っています。
本人と企業の双方に話を聞きながら、課題を分析し、通院同行などの支援をすることで復職に結びつけることができたという事例でした。関係機関との連携は、企業ではなかなか難しい場合があるため、福祉ならではの支援が職場定着に結びつくということを事例を通して学ばせていただきました。ただし、就労定着支援には期間の定めがあるため、これ以降の支援については、次に説明をしていただいた尾張西部障害者就業・生活支援センター「すろーぷ」に相談することとなります。「すろーぷ」の秋江様からは、障害者就業・生活支援センターの業務についてご説明いただきました。
講師の方々のお話を受けて、最後は質問・意見交流の場となりました。
参加された方からは、統合失調症の方の支援についてや、障害者雇用を継続する上での工夫、さらには一緒に働くスタッフのサポートに至るまで、様々なご質問をいただきました。
実際に障害者雇用に取り組んでいる企業の担当者様より、具体的なお話もしていただき、とても有意義な交流ができたのではと思います。
参加された方の感想では、
・カジスマイル様のお話がとても良かった。
・実際の失敗事例について説明いただいて、対応等を知ることができてよかったです。
・具体的な事例はとても参考になるので、もっと内容に組み入れて貰えると嬉しい。
などと、実際のケースについてのお話が参考になったとの感想を多くいただきました。
それぞれの企業の取り組みを振り返ったり、比較したりする機会となればと企画した今回の企業交流会ですが、交流した内容を持ち帰っていただき、日頃の障害者雇用の取り組みに活かしていただけると幸いです。
自立支援協議会では、今後も障害者雇用に関する情報発信や、交流の機会を通して、障害者にとっても企業にとっても働きやすい職場作りを一緒に考えていければと思っています。